卓  話 

2019年1月23日

ゲスト卓話

「最近の金融経済情勢について」

日本銀行大分支店長 森 毅氏


 日本の実質GDPは引き続き緩やかに拡大しています。昨年は1-3月、7-9月が天候や災害の影響で一部マイナスとなりました。10-12月は比較的良いようです。これまでの日本経済は堅調な世界経済に支えられてきました。世界の過去15年の平均経済成長率は3.5%台で、このところ3.7〜3.9%でしたが、それに少しかげりが見えてきました。世界経済はアメリカ、中国、ヨーロッパにより引っ張られていますが、貿易摩擦や英国のEU離脱問題が気になるところです。2002-2008年の長期景気回復局面では製品輸出の伸びが顕著でしたが、2012年からの今回の回復局面ではサービスが伸びています。設備投資についても前回は建物・構築物はマイナスで機械等の投資はプラスでしたが、今回は機械だけでなく建物・構築物も全般にバランスよく設備投資が行われています。12月の短観でも今年度の設備投資は前年比10%台の伸びが予想されています。一方、個人消費は回復していますが、緩やかです。これは長年のデフレで節約志向が強く、より安いものを求めて、店舗での購入よりネット購入の増加が影響していると思われます。

 我々は10月の増税による家計全体の負担額を試算してみました。97年度の増税の時は8兆円の家計の負担がありましたが、今回は軽減税率などにより、この試算段階では2兆円で、キャッシュレスなどの措置で家計への負担はさらに軽減されると思われます。しかし増税というマインド面での影響は見逃せません。消費者物価指数(生鮮食品を除く)が安定的に前年比2%増になるまで、現在の金融緩和を続けて行こうとしています。そのため長期金利10年物を0%に抑えているので、10年以下ではマイナス金利となります。消費者物価はなかなか2%に届かず1%台です。

 全国・九州沖縄の景気は回復より角度の高い拡大局面ですが、大分県の場合はそれよりも緩やかになっています。緩やかになっている主要因は個人消費です。観光も災害などの影響で国内客の戻りが少なかったようです。インバウンド消費では一昨年、外国人宿泊者数伸び率が全国1位で、前年比67.7%増でした。今年はラグビーW杯の5試合が大分で開催され、大分トリニータのJ1昇格などの明るい材料もあります。

 大分県は全国を上回るペースで人口が減少しています。1990年代半ばまでは自然減より社会減の要素が圧倒的に強かったですが、1993年以降は社会減よりも自然減が広がっています。自然減の拡大は出生率の低下というより、以前の社会減による出生人口の低下が主要因です。進学や就職を契機に県外に出て行く人が多く、特に女性の福岡・東京への流出が目立ちます。産業別では、福岡は医療・福祉・サービス業・卸小売りで女性が多く、東京は情報通信業で圧倒的に男性が転出しています。この社会減は賃金水準と密接にかかわり、賃金水準の低い県ほど社会減が多くなっています。賃金水準は労働生産性が高まるほど上昇する傾向にあります。大分県の労働生産性は実は福岡県に見劣りしない水準で、製造業の生産性は全国水準より高い反面、非製造業が低く格差につながっています。



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